2018年10月14日
思いや気持ちを写真に写すということについて考えたこと
「気持ちは写真に写るのか?」ということを考えるにあたって、あらかじめ理解しておきたいこと。
写真に思いを伝えることを考える前に、写真という手段を会話や文章や芸術に置き換えて見ましょう
誰かに何か伝えたいという思いから、言葉が生まれ、文字が生まれ、芸術が生れ、人は会話や文章だけでなく絵画や音楽などありとあらゆる方法で思いや気持ちを伝え、残そうとしてきました。
語り合えば思いや気持ちは全て通じ会えるでしょうか?
文章では伝わるでしょうか?
絵画や音楽やそのほかの表現方法では?
答えはやはりNOです。
考えうる全ての表現、言葉も、文章も、芸術全般も、もちろん写真も、思いや気持ちの全てを正確に伝えることはできません
しかし、伝えたいという気持ちがあれば確実に何かは伝わります。
思ってもいないことが誰かに伝わることもありません。
古今東西、色々な人が思いは伝わると信じて、語り合い、文章を残し、様々な表現を選んできたように、僕はカメラマンとして写真を通して伝えることにチャレンジしてきました。広告写真の撮影の際には、必要な写真に応じて時には現場の人間全てを巻き込んで賑やかに撮影をしたり、しっとりと落ち着いた空間づくりに心がけました。
時には手のアップの写真や、靴を履いた足元だけの写真でも、「感情は必ず写真に写るからこう考えてやって欲しい!」とモデルに力説しだしたりすることもありました。「手や足のパーツだけの写真の撮影にややこしいことを言うカメラマンやなぁ」とか思われることも多いのですが、実際に撮影された写真を見て、手足だけで生き生きとした臨場感を作り出すことが可能だと理解をしてもらえたら、より積極的に感情について考えてくれるようになるのです
野球のバッティンググローブのイメージ伝えることを目的に撮影したこの写真は、モデルをしてくださった野球経験のあるメーカーのご担当者の方に、「当てに行く気持ちじゃなくて、プロや社会人の4番バッターが次のボールをレフトスタンドに絶対放り込んだる!というような気持ちで打席に入って、ピッチャーがサインを交換している間に精神統一しているっていう雰囲気ですやってください」とお願いして、周りの野球経験者の方々皆さんに納得していただける写真を撮ることができました。
そう、全ては伝わらなくても、何かは確実に伝わります。気持ちの持ちようを少し変えることで大きな変化が生まれると僕は信じてこれからも写真を撮り続けたいと思っています。